創意工夫チャレンジ促進事業の3コースの選び方|東京都の中小企業

横浜の行政書士モアナ法務事務所です。補助金・日本版DBS・国際業務を中心としている事務局にて、お知らせをお伝えします。

「物価や人件費が上がり、売上はあっても利益が残りにくくなった」。そんな悩みを抱える東京都内の事業者さまに向けて、東京都が新しい助成金を用意しています。
令和8年度に始まった「創意工夫チャレンジ促進事業」です。

直近の決算で営業利益が減った会社や、赤字になった会社が対象です。今の事業を良くする取組や、新しい事業への挑戦にかかる経費の一部を助成します。
2026年10月20日には、賃上げ重点コースの募集期間が広がり、募集回も追加されました。

この制度には3つのコースがあり、「どれで申請すればよいの?」と迷われる方も多いと思います。
この記事では、横浜の行政書士が、3つのコースの違いと選び方、申請前に知っておきたい注意点を解説します。


創意工夫チャレンジ促進事業とは?対象になる事業者

正式な名前は「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」です。
物価高や賃上げなどで経営環境が厳しくなるなか、中小企業が創意工夫を生かして行う取組を、経費の助成とアドバイザーの派遣で支援します。

3つのコースに共通する主な条件は、次のとおりです。

・東京都内で事業を行う中小企業者であること(個人事業主を含みます)
・申請受付開始日の時点で、直近の決算期の営業利益が前の決算期より減っていること、または直近の決算期に営業損失を計上していること

つまり、業績が伸び悩んでいる会社を応援する制度です。業績が好調な会社は、この制度の対象になりません。

また、交付決定を受けられるのは1事業者につき1回だけです。3つのコースを同時に申請することはできません。
同じ公社の「中小企業収益力強化サポート事業」のハンズオン支援を受ける会社も、申請できません。


3つのコースの違いと選び方

3コースの比較

項目業務改善コース賃上げ重点コース新市場・新分野進出コース
取組の内容今の事業の深化・発展今の事業の深化・発展新しい商品・サービスで、新しい市場・分野に進出
助成の上限600万円600万円1,000万円
助成率2/3以内3/4以内(小規模企業者は4/5以内)2/3以内(賃上げ計画を立てると3/4以内、小規模企業者は4/5以内)
賃上げ計画不要必須任意
支援予定数700社500社100社

助成の期間は、どのコースも交付決定から1年間です。この期間内に、契約・実施・支払いまで終えた経費が対象になります。

コースの選び方:取組の中身と昇給の予定で考える

コースを選ぶときは、まず「何に取り組むか」を考えます。

新しい商品・サービスを作り、これまでとは違う市場や分野に進出するなら、新市場・新分野進出コースが候補です。
上限が1,000万円と大きい一方で、新しい商品・サービスと新しい市場・分野の両方が必要です。
すでに売上がある取組、今の商品をそのまま別の市場で売る取組、性能の高い設備を入れて競争力を上げる取組は、このコースでは対象外になります。

今の事業の質を上げる取組や、今の事業をもとに新しい提供方法を取り入れる取組なら、業務改善コースか賃上げ重点コースです。
この2つは取組の中身も上限額も同じです。違うのは、賃上げの計画を立てるかどうかと、助成率だけです。

来年、従業員の給与の総額を2%以上上げる予定があるなら、賃上げ重点コースを選ぶと助成率が2/3から3/4に上がります。
たとえば、対象になる経費が800万円の場合、業務改善コースでは約533万円、賃上げ重点コースでは600万円です。
昇給の予定がない場合や、達成できるか不安がある場合は、業務改善コースを選ぶほうが安心です。


賃上げ重点コースを選ぶ前に知っておきたいこと

賃上げ重点コースでは、賃金引上げ計画を立て、次の2つを達成する必要があります。

・常時使用する従業員の給与等総額を、基準期間より2.0%以上増やすこと
・助成事業を行う事業所の最低賃金を、地域別最低賃金+30円以上にすること

第3回の募集では、基準期間は2025年11月1日から2026年10月31日までの12か月です。
申請時には、この期間の全従業員分の賃金台帳の写しを提出します。また、常時使用する従業員が1人以上いることが条件です。

注意したいのは、助成金が2回に分けて後払いされる点です。
1回目は通常の助成率(2/3)で計算した額で、2回目は賃上げの達成を確認したあとに、差額が支払われます。
賃上げが達成できなかった場合は助成率が2/3に戻り、すでに受け取った分の返還を求められることもあります。

無理のない計画を立てることが何より大切です。


申請前に確認したい対象外経費とスケジュール

対象外になりやすい経費

対象になる経費は、システム等導入費、委託・外注費、機械装置・工具器具費、販売促進費など11区分です。一方で、次のような経費は対象外になります。

・交付決定の前に発注・契約したもの
・パソコンなど、ほかの用途にも使える汎用の機器
・単価が税抜10万円未満の購入品
・今の事業の販売促進(販売促進費は新しい商品・サービスの分だけで、上限は150万円)
・求人を含む広告
・関連会社や、顧問契約・コンサルタント契約を結んでいる会社への発注

また、専門家指導費、販売促進費、その他経費、委託・外注費のうちの市場調査費は、それだけでは申請できません。ほかの経費と組み合わせる必要があります。

募集スケジュール(2026年10月20日の変更後)

コース受付期間
業務改善コース第3回:2026年11月2日〜11月13日
第4回:2027年2月1日〜2月12日
賃上げ重点コース第3回:2026年11月16日〜12月14日
追加募集:2027年1月4日〜1月14日
第4回:2027年2月15日〜3月12日
新市場・新分野進出コース第2回:2027年1月4日〜1月14日(今年度最後)

締切はいずれも最終日の16時です。予算の都合などで、予告なく変更される場合があります。

申請はJグランツの電子申請だけで、GビズIDプライムのアカウントが必要です。
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まとめ:まずは決算書で対象かどうかを確認しましょう

創意工夫チャレンジ促進事業は、業績が伸び悩んでいる都内の中小企業が、次の一手を打つための制度です。
新しい市場に出るなら新市場・新分野進出コース、今の事業を良くするなら、昇給の予定に応じて賃上げ重点コースか業務改善コースを選びます。

最初に確認したいのは、直近2期分の決算書です。営業利益が減っているか、赤字かどうかで、申請できるかが決まります。
そのうえで、来年の昇給の予定と、取り組みたい内容を整理していきます。

制度の詳細は、東京都中小企業振興公社の公式ページでご確認ください。

https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/soui-challenge/ippan/index.html
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/soui-challenge/juuten/index.html
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/soui-challenge/shin-shijou/index.html

「うちの会社は対象になる?」「どのコースが合う?」という事業者さまは、行政書士モアナ法務事務所までお気軽にご相談ください。