急な欠員でも採用できる?日本版DBSの例外ルール「いとま特例」の正しい活用法と注意点

日本版DBSの基本ルール
令和8年(2026年)12月に施行される「こども性暴力防止法(日本版DBS)」では、
こどもと接する業務に就くスタッフについて、
事前に性犯罪前科の有無(犯罪事実確認)を行うことが原則とされています。
つまり、採用後すぐに現場へ配置することはできず、一定期間の確認手続きが必要となります。
現場で想定される課題
実務上、事業者からは以下のような相談が多く寄せられます。
・急な退職や欠勤により人員が不足した場合はどうしたらいいか
・繁忙期により急な増員が必要となったらどうしたらいいか
・採用は決まったが、確認手続きの完了を待てない場合の対応は
このような状況において、「確認が完了するまで待つと現場運営に支障が出る」という問題が生じます。
「いとま特例」とは
こうした緊急時のために設けられているのが「いとま特例」です。
これは、事前に犯罪事実確認を行う時間的余裕がない場合に限り、
例外的に確認完了前であっても業務に従事させることを認める制度です。
特例の適用期間
いとま特例を利用した場合でも、確認手続きは必ず実施する必要があります。
・原則:業務従事開始から3ヶ月以内に確認完了
・災害等の特別な事情:最大6ヶ月以内
したがって、特例はあくまで一時的な措置であり、恒常的な運用は認められていません。
適用が認められるケース
いとま特例が認められるためには、
「直ちに業務を行わせなければ事業運営に著しい支障が生じること」
かつ
「事業者の責任によらないやむを得ない事情があること」が必要です。
具体例
・急な退職や病欠により即時の人員補充が必要な場合
・採用辞退等により直前で欠員が発生した場合
・利用者数の急増により予期せぬ増員が必要となった場合
・派遣スタッフの決定が遅れ、従事開始直前となった場合
適用が認められないケース
一方で、以下のようなケースでは特例は認められません。
・退職時期が事前に把握できていたにもかかわらず、採用対応を怠った場合
・採用計画やスケジュール管理の不備
・必要書類の取得・提出を適切に管理していなかった場合
事業者側の計画不足や管理不備による遅れは対象外となります。
特例利用時に求められる措置
いとま特例を利用する場合、当該スタッフは特定性犯罪前科がある可能性がある者として取り扱うことが求められます。
そのため、以下の措置をすべて講じる必要があります。
1対1対応の禁止(原則)
特例期間中は、こどもとスタッフが1対1となる状況を原則として禁止する必要があります。
・個別指導の制限
・密室での対応の禁止
・複数人体制での対応
特に学習塾やスポーツスクールでは、運営体制の見直しが必要となるケースが想定されます。
研修の実施
対象スタッフに対して、以下の内容に関する研修を実施する必要があります。
・制度の趣旨
・こどもへの性暴力防止に関する理解
管理職による監督
管理職による定期的な確認が必要です。
・現場巡回
・声掛け
・状況確認
これにより、リスクの早期把握と抑止を図ります。
例外的に1対1が必要な業務
カウンセリング等、業務の性質上1対1が避けられない場合は、
・事前の管理職への報告
・外部から視認可能な環境の確保
など、追加的な安全措置が必要となります。
結論:いとま特例は負担軽減策ではない
いとま特例は緊急時の救済措置ではありますが、
・人員配置の制約
・運営負担の増加
・管理コストの上昇
といった影響があるため、結果的に現場の負担は増加する可能性があります。
本質的な対応策
最も重要なのは、採用プロセスの見直しです。
・犯罪事実確認に要する期間(約1ヶ月)を前提とする
・採用活動の前倒し
・余裕を持った人員計画
これが、日本版DBSに対応した採用体制の基本となります。
まとめ
・日本版DBSでは事前確認が原則
・いとま特例は例外的措置
・利用には厳格な条件がある
・運用負担はむしろ増加する可能性がある
・計画的な採用が最重要
日本版DBS対応のご相談について
日本版DBSへの対応は、
・採用フローの設計
・社内規程の整備
・運用体制の構築
など、経営判断と密接に関係します。
行政書士モアナ法務事務所では、認定取得から実務運用まで一貫して支援しています。
ご不明点があれば、お気軽にご相談ください。
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