こども性暴力防止法認定申請の時期はいつ?学習塾が12月と4月で迷う理由

日本版DBSをサポートしている横浜の行政書士

こども性暴力防止法(日本版DBS)の認定申請は、2026年12月25日から行うことができます。
制度が始まる日に合わせて申請しよう、と考えている学習塾の事業者さまも多いのではないでしょうか。

実際、当事務所がご相談を受けた学習塾でも、当初は12月25日の申請を目標にされているところがほとんどでした。
ところが採用スケジュールを一緒に確認していくと、「本当に12月でいいのか」という論点が出てきます。

理由は、大学生アルバイトの大量採用と、認定直後の犯罪事実確認が真正面からぶつかるためです。
この記事では、学習塾の事業者さまに向けて、認定申請の時期をどう決めるかの判断軸を整理します。

最初にやるべきことは学習塾が最初にやるべき3つの対応をご覧ください。

認定申請は2026年12月25日から。認定までは1〜2か月かかります

まず前提となる認定申請は2026年12月25日から行うことができ、認定を受けるまでには審査などで1か月から2か月程度かかるとされています。
つまり制度開始と同時に申請した場合、認定が下りるのはおおむね2027年1月下旬から2月頃という見通しになります。

ここで大事なのは、認定が下りた後犯罪事実確認の義務が動き出すという点です。

認定は「ゴール」ではなく「運用のスタート」です。
認定日をいつに置くかは、そのまま「いつから数百人規模の実務が始まるか」を決めることになります。

手続きの全体像は認定申請の流れ、制度全体のスケジュールは施行日・スケジュールの解説記事をご覧ください。

犯罪事実確認の期限は「認定時の状態」で大きく変わります

申請時期を考えるうえで、必ず理解しておきたいのが犯罪事実確認の期限のルールです。
こまもろうシステムの認定事業者向けマニュアルでは、確認期限は次のように整理されています。

  • 認定時現職者:認定日から起算して1年を経過する日
  • 新規従事者:従事開始日(=働き始めるまでに確認を終えておく必要があります)
  • 再確認者:確認日の翌日から起算して5年を経過する日が属する年度の末日

そして「認定時現職者」とは、認定を受けた時点で既にこどもと接する業務に従事している方に加えて、従事することが決まっていた方、つまり内定者も含まれます
ここが実務上とても重要なポイントです。

同じ大学生アルバイトでも、認定の前に採用(内定)していれば1年の猶予がある一方、
認定の後に採用すれば働き始めるまでに確認を終えなければなりません。

現職者の考え方は施行時現職者・認定時現職者の解説記事もあわせてご参照ください。

12月申請がネックになるのは、認定と春の大量採用が重なるため

ここからが学習塾特有の事情です。
学習塾では、2月から3月にかけて新年度の大学生アルバイト講師を大量に採用します。
規模の大きい塾であれば、この時期だけで数千人という単位になることも珍しくありません。

認定直後に、確認が集中します

12月25日に申請し、認定が2月頃におりた場合、2月の認定以降に働き始める大学生アルバイトは「新規従事者」に当たり、従事開始日までに犯罪事実確認を終えておく必要があります。
そして犯罪事実確認そのものにも標準処理期間があり、日本国籍の方で2週間から1か月、外国籍の方で1か月から2か月とされています。

つまり、3月・4月に授業へ入ってもらうためには、2月のうちに数百人分の申請を済ませておかなければならない計算になります。
しかもその2月は、認定が下りたばかりでシステムにも慣れていないタイミングです。

本人側にも手続きが発生します

犯罪事実確認は事業者側だけで完結しません。
従事者本人にアカウントを登録してもらい、戸籍情報を登録してもらう工程が入ります。
数百人の大学生に、期限を切って個別に対応してもらう連絡・催促の負荷も、あらかじめ見込んでおく必要があります。
この「不慣れな状態で、いきなり最大量をさばく」という状況が、12月申請の最大のリスクです。

4月に申請すると、春の採用組が「認定時現職者」に入ります

一方、大学生アルバイトの採用が一段落した4月頃に申請するとどうなるでしょうか。認定が下りるのは、おおむね5月から6月頃という見通しになります。

この場合、2月から3月に採用した大学生アルバイトは、認定の時点ですでに従事している、または従事することが決まっている状態です。
したがって「認定時現職者」に当たり、認定日から1年をかけて順番に確認していけばよいことになります。

  • 繁忙期を外して、落ち着いた時期に運用を立ち上げることができる
  • 少人数から試して、社内の手順とマニュアルを固めてから量を増やしてくことができる
  • 翌年2月からの大量採用に、経験のある状態で臨むことができる

当事務所が担当している学習塾でも、この整理をお伝えしたうえで、4月以降に申請して少しずつ慣れてから量をこなす、という方針を選ばれるケースが多くなっています。
実務の立ち上げという観点では、合理的な判断だと考えています。

なお、急な欠員などでどうしても確認が間に合わない場合にはいとま特例という仕組みもありますが、
適用要件も運用中の義務も厳しく、なるべく使わない方針が良いと考えます。

それでも12月申請が向いているケースもあります

ここまで4月申請のメリットを書きましたが、12月申請がダメというわけではありません。次のような学習塾であれば、12月申請のほうが合理的です。

  • 講師の人数が数十人規模で、認定直後でも十分にさばける
  • 大学生アルバイトへの依存度が低く、専任講師が中心である
  • 春の入塾説明会や新年度パンフレットに「こまもろうマーク」を間に合わせたい
  • 地域で早期に認定を取り、保護者さまへの訴求で差別化したい

認定を受けた事業者はこども家庭庁が公表し、認定事業者マーク(こまもろうマーク)を表示できます。
春は保護者さまが塾を比較検討する時期ですから、そこに間に合わせる価値は確かにあります。
表示ルールはこまもろうマークの解説記事で整理しています。

「早く認定を取る価値」と「不慣れなまま大量処理をするリスク」をのどちらを優先するのか。
塾の規模と採用構造によって、答えは変わると思います。

自社はどちらか。4つのチェックポイント

迷われている事業者さまは、次の4点を確認してみてください。

  1. 2月から3月に採用する講師・アルバイトは、おおよそ何人ですか
  2. そのうち、認定後に働き始める人はどのくらいになりそうですか
  3. 犯罪事実確認の実務を担当する人は、何人確保できますか
  4. 春の募集広報で、こまもろうマークをどうしても使いたい事情がありますか

1と2の人数が大きく、3の体制が薄いのであれば、4月以降の申請を軸に考えるほうが安全です。
逆に1と2が小さいか、4の事情が強いのであれば、12月申請を目指す価値があります。

なお、申請時期をどちらにする場合でも、児童対象性暴力等対処規程や情報管理規程の整備、就業規則の見直しは先に進めておきたいところです。

まとめ:申請時期は「いつ実務を安心してスタートできるか」から逆算がオススメです

学習塾の認定申請の時期は、「いつ認定を取りたいか」ではなく「いつから犯罪事実確認の実務を安心してスタートできるか」から逆算して決めるのが実務的です。

運用の詳細は今後もこども家庭庁の発表で更新されるため、最新情報の確認をおすすめします。
横浜・神奈川エリアで学習塾を運営されている事業者さまで、認定申請の時期の決め方や規程の整備でお悩みの際は、
横浜の行政書士モアナ法務事務所までご相談ください。

「自社の採用人数だと12月と4月のどちらが現実的か知りたい」という段階でも構いません。
お気軽に日本版DBS認定申請サポートからお問い合わせください。