こども性暴力防止法(日本版DBS)の認定に向けた対応の順番を行政書士が解説

認定に向けて作るもの・用意するものはたくさんありますが、日本版DBSの対応で難しいのは、その数よりも「順番」です。
規定を作るには、別のことを先に決めておく必要があります。
また、ある規程に定めた内容は、別の規程にも反映しなければなりません。
全体像をつかまないまま手をつけると、途中で前の書類に戻って修正する、ということが起こり得ます。
今回は横浜の行政書士が、認定対象となる事業者さまに向けて、こども性暴力防止防止法対応をどの順番で進めればよいのかを整理します。
こども性暴力防止法の対応は、規程どうしがつながっています
こども性暴力防止防止法の認定に向けて整える主なものは、次のとおりです。
・就業規則・服務規律の見直し
・報告・対応ルール、相談窓口の整備
・児童対象性暴力等対処規程
・情報管理規程
・保護者向けの説明資料
これらは別々の書類ですが、中身は互いにつながっています。
例えば、「不適切な行為」の範囲を就業規則の禁止事項に書くのであれば、同じ範囲を報告ルールや保護者向けの説明にも反映する必要があります。
どこかで範囲がずれると、現場は「どちらに従えばいいのか」と迷ってしまいます。
また、誰を犯罪事実確認の対象にするかによって、研修を受ける人や、情報を管理する範囲も変わります。
前提となる部分が決まっていないと、後ろの書類は作れません。
だからこそ、どこから決めるかという順番が大切になります。
最初に決めるのは「対象業務」と「不適切な行為」の2つです
認定対象事業者の場合、最初に決めておきたいのは次の2つです。
1.犯罪事実確認の対象となる業務・職種の特定
2.「不適切な行為」の範囲
1.犯罪事実確認の対象となる業務・職種を特定する
対象業務は、単純に職種の名前だけで判断するのではなく、実際の業務内容から確認します。
判断の基準になるのは、
・支配性(指導などを通じて強い立場に立つ)
・継続性(業務の中で繰り返しこどもと接する)
・閉鎖性(保護者などの目が届かない)
の3つです。
受付や送迎のスタッフが対象となるかどうかも、この3つの観点から確認します。
2.「不適切な行為」の範囲を決める
不適切な行為とは、それ自体は性暴力ではないものの、続いたり発展したりすると、性暴力につながるおそれのある行為です。
例えば、
・生徒と個人的にSNSで連絡を取る
・個人のスマートフォンで生徒を撮影する
といった行為が考えられます。
どこまでを禁止するかは、事業の内容やこどもの年齢によっても変わります。
そのため、国の基準を確認したうえで、自社の事業内容に合わせて具体的に決めていく必要があります。
職種ごとの考え方や不適切な行為の例については、こちらの記事でも紹介しています。
2つが決まれば、就業規則の改定に進めます
対象業務と不適切な行為の範囲が決まれば、次に就業規則の改定に進むことができます。
就業規則には、例えば次のような内容を盛り込みます。
・犯罪事実確認の手続きに協力する義務
・児童対象性暴力等と不適切な行為の禁止
・確認の結果や調査を踏まえた配置転換の考え方
・懲戒処分に関する規定
就業規則は、ルール違反があったときに、会社として対応する根拠になります。
最初の2つが固まらないまま就業規則を書き始めると、禁止事項の範囲があいまいになり、いざというときに使いにくい規定になってしまいます。
だからこそ、対象業務と不適切な行為を先に決めてから、就業規則に落とし込むことがポイントです。
その次に、報告・対応ルールを整えます
就業規則の次は、報告・対応ルールです。
こどもへの日常観察や面談・アンケート、報告・対応ルールの策定と周知、相談窓口の設置と周知は、性暴力等を早く見つけるための取組として事業者に求められています。
報告・対応ルールでは、
・誰が
・誰に
・何を
・いつまでに
報告するのかを決めます。
さらに、報告を受けた人が、その後に何をするのかも明確にしておきます。
ここで、先に決めた「不適切な行為」の範囲と、就業規則の懲戒の考え方がそのまま活用できます。
順番どおりに進めていれば、報告ルールを作る段階で迷う部分は少なくなります。
すべてを一から作る必要はありません
報告・対応ルールと聞くと、「新しいルールをゼロから作らなければならない」と感じるかもしれません。
しかし、すでに社内にあるルールを土台にする方法もあります。
2026年10月1日から、すべての事業主にカスタマーハラスメント対策の措置が義務付けられました。
これに合わせて、トラブルがあったときの相談の受け付け方や、事実確認、対応の流れを改めて定めた事業者さまも多いと思います。
こうしたハラスメント対応のフローや報告ルールを元にして、こども性暴力防止防止法向けにカスタマイズしていくことができます。
「相談を受け付ける」「事実を確認する」「対応する」「再発を防ぐ」という骨組みは共通しているためです。
そのうえで、こども性暴力防止防止法では、こどもを対象とする部分を加えていきます。
例えば、
・こどもが安心して話せる場所の確保
・こどもへの初期の聴き取りにおける配慮
・保護者との連絡
などです。
大切なのは、現場が混乱せず、無理なく運用できるかという視点です。
ルールが増えすぎると、現場では使われなくなってしまうことがあります。
すでに社員が慣れている流れを活かすことで、こども性暴力防止防止法の対応も運用に乗せやすくなります。
まとめ:施行まで約3か月、順番を決めて進めましょう
こども性暴力防止防止法の対応は、作るものが多いうえに、それぞれの規程やルールが関連しています。
だからこそ、次の順番を意識して進めることが大切です。
1.対象業務・職種と、不適切な行為の範囲を決める
2.就業規則を改定する
3.報告・対応ルールと相談窓口を整える
4.既存のハラスメント対応フローなど、今あるルールを土台に活用する
最初からすべての規程を作ろうとするのではなく、前の段階で決めた内容を次の規程に反映させるという考え方で進めると、全体を整理しやすくなります。
日本版DBSの認定申請で行政書士に依頼できる具体的な業務については、こちらの記事もご覧ください。
横浜・神奈川エリアで、学習塾・スポーツ教室・習い事教室などを運営されている事業者さまで、
「何から手をつければいいか分からない」
「今あるルールをどう活かせばいいか知りたい」
という場合は、横浜の行政書士モアナ法務事務所までお気軽にご相談ください。
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